机上のkuwa論

デュエルマスターズ考察 / 間違いがあればコメントでご指摘お願いします

シールド・トリガー確率をはじめからていねいに〜前編〜

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シールド・トリガーで相手の切り札を倒せ!! デッキに合計8枚以上入れると、グンっと防御力が上がるぞ!

あらすじ

デュエル・マスターズはシールド・トリガーという逆転の要素をもっています。
今日、「トリガーが盾に0で負けた〜」などの声をしばしば耳にし、このことから、DMブロガーやTwitterユーザーなどを中心に
「デッキに入れるべきシールド・トリガーの枚数」が議論され、結論が出されています。もちろん、数字だけがゲームの全てではないと思います。天才的なDMプレイヤーはデッキに必要なカードを何枚入れれば良いか、経験則的に体で覚えているからです。しかし、私はそういった感覚がないため、数字の側面からアプローチしてみることにします。

新DMwikiにてシールド・トリガー確率が計算され、表が掲載されています。
確率表 - デュエルマスターズ Wiki

また、最近であればガチまとめ様の西川航平氏によってシールドトリガーの確率について記事をあげられています。

上記がどう計算されているか、詳細に書かれていないため、
そこらへんをゆっくり丁寧にこの記事で掘り下げていきましょう。

期待値とは、どのような尺度に成りうるか?

上記で取り上げたシールド・トリガーの議論は、期待値を計算しています。
確率は一般的に離散型確率分布と連続型確率分布に分類できます。
離散型確率変数はとびとびの値が取られる事象で隣りあう数字間に値は取らないと定義されています。
DMにおいてデッキはカード40枚で構成されています。例えば、ドローするとき1.4枚引くなどの操作ができないです。
よって、DMというカードゲームは離散型確率分布に分類されると考えます。

離散型確率分布における期待値は以下のように定義されます。

期待値 :  \displaystyle E(x)=  \displaystyle \sum_{i=0}^n x_i p_i

x_iは実際に取る値です。例えば、シールドゾーンにトリガーが"3"枚入っている事象とすれば、x_iは3となります。
p_iは事象が起こる確率です。デッキ40枚中にAというカードが1枚入っていたら, そこから一枚デッキをめくったときAがでる確率p_i \displaystyle \frac{1}{40}となります。

期待値とは、ある試行を行ったとき,その結果として得られる数値の平均値のことです。例えば"ギャンブルや宝くじなら、平均してどれぐらい儲かるか。 サイコロの目の数値なら、平均していくつの目が出るか。"(参考http://wakarimath.net/explanation/q.php?pID=E00079)を理解する尺度になります。
期待値自体は中学校や高校で習う数学の概念です。「え、期待値と平均って計算値が異なるよね?期待値と平均って何が違うの?」と思った読者のみなさん、正解です。

大学レベルでの確率論の期待値は平均を指します。これを少しだけ、かいつまんで説明します。
平均を \overline{x} 、期待値を E(x)とします。
 \overline{x}= \displaystyle \sum_{i=0}^n  \frac{x_iN_i}N
 \displaystyle E(x)=  \displaystyle \sum_{i=0}^n x_i p_iと定義されます。
ここで大数の法則より, 標本サイズ Nが∞に大きくなるとき、確率p_ip_i=\frac{N_i}{N}に収束します。
よって、確率分布の期待値は母集団の平均と一致するのです!面白いですよね。

詳しく知りたい人は以下のURLから飛んで読んでみてください。
参考:「期待値と平均の違いについて」https://to-kei.net/basic/glossary/expected-value/

さあ、皆も一緒に期待値を計算してみよう。

長々と、説明してきましたが実際に計算をしてみましょう。

例えば、シールドトリガーをデッキに8枚入れているとき 、シールドゾーン5枚の中にシールド・トリガーが埋まっている」期待値を求めてみよう。
「シールドゾーンに1枚シールドトリガーが埋まっている」確率  p_1 p_1= \frac{8}{40}  \cdot \frac{32}{39}  \cdot \frac{31}{38} \cdot \frac{30}{37} \cdot \frac{29}{36} \cdot _5C_1 = 0.43719833319・・・・・
「シールドゾーンに2枚シールドトリガーが埋まっている」確率 p_2 p_2= \frac{8}{40}  \cdot \frac{7}{39}  \cdot \frac{32}{38} \cdot \frac{31}{37} \cdot \frac{30}{36} \cdot  _5 C_2 = 0.2110612637・・・・・
「シールドゾーンに3枚シールドトリガーが埋まっている」確率 p_3 p_3= \frac{8}{40}  \cdot \frac{7}{39}  \cdot \frac{6}{38} \cdot \frac{32}{37} \cdot \frac{31}{36} \cdot  _5 C_3 = 0.0422122527385・・・・・
「シールドゾーンに4枚シールドトリガーが埋まっている」確率 p_4 p_4= \frac{8}{40}  \cdot \frac{7}{39}  \cdot \frac{6}{38} \cdot \frac{5}{37} \cdot \frac{32}{36} \cdot  _5 C_4 = 0.0034042139305・・・・・
「シールドゾーンに5枚シールドトリガーが埋まっている」確率 p_5 p_5= \frac{8}{40}  \cdot \frac{7}{39}  \cdot \frac{6}{38} \cdot \frac{5}{37} \cdot \frac{4}{36} \cdot  _5 C_5 = 0.0000851053482・・・・・・


今回の例では求める期待値は
 E(x) = 1 \cdot p_1 +2 \cdot p_2+3 \cdot p_3 +4 \cdot p_4+5 \cdot p_5 =  1.0・・・ つまり、シールド・トリガーをデッキに8枚入れているとき、「シールドゾーン5枚の中にシールド・トリガーが埋まっている」期待値は 1枚と計算できます。以上よりデッキに8枚シールド・トリガーを積めば、シールド・ゾーンにシールド・トリガーが1枚入っていることが期待されます。

ちなみに前述してますが、ここまでの議論で、シールドゾーン5枚の中にシールド・トリガーが埋まっている期待値は
 E(x) = 1 \cdot p_1 +2 \cdot p_2+3 \cdot p_3 +4 \cdot p_4+5 \cdot p_5と一般化できます。( p_1, p_2,p_3,p_4,p_5は、シールドゾーンに同時にシールドトリガーがそれぞれ1, 2, 3, 4, 5枚埋まっている確率。)

後編へつづく

ここまでは期待値とは何か、そしてその計算について、かなり丁寧、詳細にみてきました。
後編では本当に実際のデュエル・マスターズ の試合で理論値(計算した期待値)が有効なのか、プログラムの力を借りて検証、証明してみます。